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食品の水分測定を非破壊で行う方法|常圧加熱乾燥法と7手法を比較【2026年版】

食品の水分測定を非破壊・インラインで行いたい方へ。公定法である常圧加熱乾燥法(乾燥減量法)から近赤外水分計、ハイパースペクトルイメージングまで7手法を、測定時間・インライン可否・得意な水分域で比較します。自社の乾燥・焙煎工程に何が合うか、判断の軸が持てます。

結論から言えば、非破壊・インラインでの水分測定は技術的に可能ですが、公定法を置き換えるものではありません。表示や出荷判定の「基準値」は今も加熱乾燥による破壊検査で決まり、非破壊測定はその基準に合わせ込んで工程判断を速めるための手段です。農林水産省の標準計測方法では、水分は常圧加熱乾燥法・電気水分計・近赤外分析計・赤外線水分計のいずれかで測ると定められ、算出後の許容差は0.1%とされています(農林水産省「標準計測方法」)。数時間かかる公定法を基準に据えたまま、現場の判断を秒〜分単位へ近づける——これが非破壊化の実務的な位置づけです。

なぜ食品の水分測定は「壊す検査」が基本なのか

水分量は成分表示や歩留まり、日持ちに直結する指標ですが、その定義そのものが「加熱して減った質量」に依存しています。だからこそ基準法は破壊検査になります。

常圧加熱乾燥法(乾燥減量法)とは|公定法の中身と時間コスト

常圧加熱乾燥法は、試料を加熱して水分を蒸散させ、乾燥前後の重量差を水分含量とする方法です。消費者庁の食品表示基準における分析方法では、操作が容易なため多くの食品に適用され、一般に100〜135℃の範囲の一定の加熱温度と乾燥時間が用いられると示されています(消費者庁「食品表示基準」別添 栄養成分等の分析方法等)。同資料の条件例では、穀粒・乾めん・せんべい類が135℃で3時間、いも類が100℃で5時間、魚介類及びその加工品が105℃で5時間、チーズが105℃で5時間などとされています。農産物検査の世界では、恒温乾燥器を106.5±1.0℃に設定した場合を「105℃乾燥法」と呼び、玄米・精米は5時間、外国産小麦は135.0±1.0℃で2時間といった規定があります(ケツト科学研究所「知っておきたい赤外線水分計」)。

「乾燥減量法」と「常圧加熱乾燥法」はほぼ同義で使われます。厳密には前者が加熱して減った質量を水分とみなす測定の考え方を、後者が大気圧下で加熱して乾燥させるという操作条件を指す言い方で、減圧下で行う方式と区別したいときに「常圧」と付けて呼び分けられます。いずれにせよ試料を加熱・粉砕するため、その個体は測定後に出荷できません。

ここで効いてくるのが時間です。数時間かかる測定で得られる値は、すでに過ぎ去った工程の結果でしかありません。乾燥機を止めるか続けるかの判断には間に合わないのです。

減圧加熱乾燥法とカールフィッシャー法|公定法にはもう2つの顔がある

食品表示基準の分析方法では、代表的な水分の分析法としてカールフィッシャー法と加熱乾燥法が挙げられ、加熱乾燥法はさらに常圧加熱乾燥法と減圧加熱乾燥法に分かれます(補完的な方法として乾燥助剤法・プラスチックフィルム法があります)。

  • 減圧加熱乾燥法:多くの食品に基準的な方法として適用でき、一般に0.0007〜0.0133MPaの真空度で、熱によって変化しやすい食品は60〜70℃、比較的安定な食品は90〜100℃で加熱します。約5時間の減圧乾燥ののち、恒量に達するまで操作を繰り返します。野菜・果実及びその加工品、みそ、洋菓子などは減圧70℃・5時間が条件例として示されています。常圧で加熱して色が変わったり焦げが発生した場合は、温度を下げるか減圧加熱乾燥法で再測定すると明記されています(消費者庁「食品表示基準」別添 栄養成分等の分析方法等)。
  • カールフィッシャー法:メタノール等の低級アルコールと有機塩基の存在下で、水がヨウ素および二酸化硫黄と定量的に反応することを利用する滴定法です。加熱しないため揮発成分の影響を受けにくい一方、アスコルビン酸やアルデヒド等の還元力の強い成分が多量に存在する試料には適しません(同上)。装置メーカーの公開情報では、容量法で数十ppm〜100%、電量法で数ppm〜100%(水として1μg〜50mg)の測定に対応するとされています(京都電子工業「カールフィッシャー水分計の原理」)。

加熱乾燥法には共通の弱点もあります。同資料は、水分以外の揮発成分(アルコール類、酢酸等の揮発酸)が含まれる場合は、これらも水分として測り込まれるため、別途測定して差し引く必要があると注記しています。酒粕や発酵食品、調味料などで公定法の値が高めに出るのはこのためです。

破壊検査が抱える3つの限界

  • 遅い:結果が出る頃には次のロットが流れている。
  • 点でしか見えない:抜き取った数個の平均であり、庫内のムラや一枚の中の偏りは見えない。
  • 試料が失われる:粉砕・加熱するため、その個体は出荷できず、全数検査には原理的に向かない。

食品の水分測定7手法の比較|時間・非破壊・インライン可否・得意な水分域

実務で選択肢に挙がるのは次の7系統です。原理が違えば「合う工程」も違います。裏取りできた範囲で記載し、公開情報が確認できない欄は「公開情報なし」と記しています。

手法

試料を壊すか

測定時間の目安

インライン(連続測定)可否

得意な水分域

主な注意点

乾燥減量法(常圧加熱乾燥法/公定法)

破壊(加熱・粉砕)

1〜5時間程度(100〜135℃で品目ごとに規定)

不可

食品全般(条件を品目ごとに設定)

揮発成分も水分として測り込まれる。焦げると値が狂う

減圧加熱乾燥法(公定法)

破壊(加熱・粉砕)

約5時間+恒量まで繰り返し

不可

熱に弱い食品(野菜・果実加工品、みそ、洋菓子等)

真空乾燥器が必要。常圧より低温(60〜100℃)で行う

カールフィッシャー法(公定法)

破壊(試料を試液中で滴定)

公開情報なし(滴定終点まで)

不可

容量法で数十ppm〜100%、電量法で数ppm〜100%

還元力の強い成分(アスコルビン酸・アルデヒド等)が多いと不適

赤外線水分計

破壊(加熱)

数分〜20分台

不可

公開情報なし(機種・試料による)

加熱条件の作り込み次第。高温だと焦げて高く出る

電気式(抵抗・静電容量)/マイクロ波

非破壊(接触・抜き取り)

1点ずつ短時間

不可(1点ずつ)

公開情報なし(機種・品目による)

常圧加熱乾燥法との標準誤差±0.5%以内・年1回以上の精度確認が要件

近赤外(NIR)水分計

非破壊(非接触も可)

ライン上で連続

可(インライン機種あり)

公開情報なし(検量線の範囲に依存)

検量線の作成・更新が必須。主に表面近傍の情報

ハイパースペクトルイメージング

非破壊・非接触

撮像は短時間(解析込みで設計)

可(ライン搬送と組み合わせ)

公開情報なし(検量線の範囲に依存)

教師データ・照明設計が必要。分布(面)を見るのが強み

※公定法の条件と適用は消費者庁「食品表示基準」別添 栄養成分等の分析方法等、電気水分計の要件は農林水産省「農産物規格・検査における現行測定機器の位置付けについて」、カールフィッシャー法の測定範囲は京都電子工業の公開情報に基づきます。

赤外線水分計は「速い公定法」であって非破壊ではない

赤外線水分計は、公定法に多く用いられる加熱乾燥法を簡易的に実現する器械で、赤外線照射で試料を乾かし質量変化から水分率を出します。メーカーの解説では、公定法(110℃・2時間で水分値2.80%)に対し、同じ試料を105℃設定の赤外線水分計で測ると6〜7分で平均2.79%に一致させられた事例が示されています(ケツト科学研究所)。時間は劇的に縮みますが、試料は焼いてしまうため破壊検査であることに変わりはありません。しかも同資料は、110℃設定では試料が焦げて水分値が公定法より平均3.63ポイント高く出た失敗例も併記しています。乾燥条件の作り込みが結果を左右する点は理解しておくべきです。

電気式・NIRは「合わせ込み」が前提

電気水分計は試料の電気的特性値から間接的に水分含量を測る方法で、農産物検査の機器要件では常圧加熱乾燥法の測定値との標準誤差が±0.5%以内、かつ年1回以上の精度確認が求められています(農林水産省「農産物規格・検査における現行測定機器の位置付けについて」)。近赤外分析計も同様に、試料に近赤外線を照射し反射光や吸収エネルギーから間接的に水分含量を測る方法として定義されています。インライン型では、製造ライン上を非接触でリアルタイム測定する機種があり、測定距離260mm±30mm・IP66という仕様のものも市販されています(ケツト科学研究所 近赤外水分計 KB-30)。原理そのものは近赤外分光法の基礎で整理しています。

いずれも「間接測定」である以上、検量線という形で公定法の値と結びつける作業が要ります。農研機構の研究では、粉砕しない全粒小麦・全粒大豆のたんぱく質を近赤外分光で定量した際、測定精度は小麦0.56%(透過)・大豆1.42%(透過)で、検量線は重回帰やPLS回帰で作成されています(農研機構「近赤外分光法による小麦・大豆全粒のタンパク質分析」)。非破壊測定の精度は、装置性能よりも検量線の質で決まると考えたほうが現実に近いでしょう。糖度で同じ課題を扱った果物の糖度を非破壊で測る手法の比較や、費用感を整理した非破壊糖度計の価格も、考え方の参考になります。

分布を見たいならハイパースペクトル

ハイパースペクトルイメージングは、画素ごとに連続したスペクトルを持つ画像を取得する技術で、農産物の水分や成分分布の可視化、非破壊的な予測・評価に応用されています(叶旭君・酒井憲司「ハイパースペクトルイメージングの農業への応用」映像情報メディア学会誌 69(5), 2015)。近赤外分光イメージングによる青果物の糖度分布可視化と選別への応用も報告されており(蔦瑞樹ほか「近赤外分光イメージング法による食品品質計測法の開発」日本食品科学工学会誌 58(3), 2011)、分光分析による食品の非破壊評価は近年も研究が続いています(粉川美踏、日本食品工学会誌 26(4), 2025)。単一点の水分計では見えない「どこが乾いていないか」を面で捉えられるのが最大の違いです。どの波長域を使うかで見えるものが変わるため、VNIRとSWIRの波長域の選び方は導入前に押さえておきたい論点です。

私たちは国産ハイパースペクトルカメラ irodori を開発し、食品・農業・インフラ・医療などの現場とともに実証を重ねてきました(実績一覧)。手法の比較でお悩みの段階でも構いません。記事の途中で恐縮ですが、比較検討の材料として資料だけでもご覧いただけたら嬉しいです。

「水分量」と「水分活性(Aw)」は別物

現場で最も混同されやすいのがこの2つです。水分量は「どれだけ水が入っているか」、水分活性は「その水がどれだけ自由に使える状態か」を表します。砂糖や塩を加えれば、水分量が同じでも水分活性は下がります。

安全性の基準に効くのは後者です。厚生労働省は、pH値が4.6を超え、かつ水分活性が0.94を超える容器包装詰の食品について、ボツリヌス菌対策として120℃4分間の加熱またはこれと同等以上の効力を持つ方法を求めています(厚生労働省「真空パック詰食品のボツリヌス食中毒対策」)。つまり水分量をいくら非破壊で測れるようになっても、それは水分活性の測定を代替しません。歩留まり・食感・乾燥終点の管理は水分量、微生物制御の設計は水分活性、と目的で使い分けるのが正解です。腐敗そのものを見に行く発想については食品の腐敗・傷みを出荷前に見抜く非破壊検査で扱っています。

乾燥・焙煎工程の水分管理を設計する4ステップ

  1. 基準を固定する:対象品目の公定法・社内基準法を1つに決め、その条件(常圧か減圧か、温度・時間・試料量)を文書化する。ここがぶれると以降すべてがぶれます。
  2. 合わせ込む:候補機器で同一試料を反復測定し、公定法との差と再現性を見る。前述のとおり、温度を5〜10℃動かすだけで結果は大きく変わります。
  3. 役割を分ける:基準値=公定法、日常管理=赤外線水分計や電気式、工程監視=インラインNIR、条件出し・原因究明=ハイパースペクトル、と層を分けて配置する。
  4. 更新の運用を決める:原料ロットや季節で母集団が変われば検量線はずれます。精度確認の頻度と、外れたときの再作成手順まで含めて設計します。

実務でつまずきやすい落とし穴

  • 機種間の値を横並びにしてしまう:熱源や温度センサが違えば、加熱乾燥法とも水分計同士でも値は必ずしも一致しません。「A社の水分計で12.0%」は、他社機の12.0%と同じ意味ではありません。
  • 揮発成分の混入を見落とす:アルコールや揮発酸を含む食品では、加熱乾燥法はそれらも水分として測り込みます。非破壊測定の検量線を、そのままの公定法値で作ると系統誤差が乗ります。
  • 表面水分と全体水分の取り違え:光学式は基本的に表面近傍の情報を見ています。中心部がまだ湿っている半乾き品を「乾いた」と誤判定しがちです。
  • 温度・試料量の変動を放置する:標準計測方法でも、電気水分計や近赤外分析計は機器と試料の温度差を3℃以内に近づけてから測るよう定められています(農林水産省「標準計測方法」)。かさの違いも結果をぶらします。
  • 検量線を作らずに導入する:間接測定は教師データがあって初めて数値になります。データ取得の工数を見積もらないまま入れると、高価な色判定機になってしまいます。

公定法で足りるか、非破壊が要るか、分光イメージングまで要るかの判定チャート

設備投資を検討する前に、次の順で自問すると切り分けやすくなります。上から順に見て、最初に「はい」になったところが現時点の答えです。

  1. 必要なのは、表示・出荷記録に使う公的に説明できる値だけか。→ はい:公定法(常圧加熱乾燥法)で足ります。熱に弱い品目や揮発成分が多い品目なら、減圧加熱乾燥法やカールフィッシャー法への切り替えを検討してください。
  2. 知りたいのは、ロット全体の代表値ひとつだけか。→ はい:電気式・赤外線水分計で足ります。抜き取り測定+公定法での定期照合という運用で十分です。
  3. ラインを止めずに、流れている製品の水分を連続監視したいか。→ はい:インライン型のNIR水分計が第一候補です。検量線の作成と更新にかかる工数を見込んでください。
  4. 不良の原因が「どこが乾いていないのか分からない」ことにあるか。→ はい:分光イメージング(ハイパースペクトル)の出番です。点の測定ではムラの位置を特定できません。
  5. 水分だけでなく、油分・糖度・異物・傷みなど複数の指標を同じ撮像から見たいか。→ はい:同上です。1回の撮像を複数の判定に使い回せるかが、投資判断の分かれ目になります。
  6. いずれも当てはまらない。→ まずは基準法の固定と、いま使っている機器の精度確認から。装置を増やす前に、値がぶれる原因が運用側にないかを確かめます。

4・5に当てはまる場合でも、いきなり本導入する必要はありません。実際の製品サンプルを撮って、狙った差が波長に現れるかを先に確かめるのが確実です。

ハイパースペクトルが向くケース・向かないケース

正直に書くと、ハイパースペクトルは万能ではありません。向かないのは、単一点の水分率を安く高頻度に知りたいだけのケースです。その用途なら電気式やNIR水分計のほうが安価で確実です。

  • 教師データが必要:スペクトルを水分率に変換するには、公定法の実測値と対応づけたサンプルを相応の数だけ集める必要があります。
  • 照明・撮像条件に依存する:照明が変わればスペクトルも変わり、モデルの再学習が要ります。ライン照明の設計まで含めた検討が前提です。
  • 内部深部は苦手:得られるのは主に表面から浅い層の情報で、厚みのある食品の中心水分をそのまま当てるのは困難です。
  • データ量と処理負荷:画素ごとにスペクトルを持つため、保存・処理の設計が必要です。

逆に、乾燥庫内の位置による偏り、焙煎時の粒間ばらつき、成形品の一枚の中の水分分布といった「面のムラ」が歩留まりを削っている工程では、点の水分計では原因にたどり着けません。ここが使いどころです。仕組みと活用事例はハイパースペクトルカメラの基礎と活用事例にまとめており、費用感はハイパースペクトルカメラの価格・費用相場で公開しています。

現場で確かめる:デモ・検証(PoC)の進め方

ハイパースペクトルが自社の品目に効くかどうかは、カタログではなく実際のサンプルを撮ってみないと分かりません。国産ハイパースペクトルカメラ irodori では、お問い合わせ → ヒアリング(課題整理) → デモ・検証(PoC) → ご提案・お見積り → 導入・運用開始、という流れでご一緒しています。

  • ご用意いただくもの:良品と不良品(乾燥不足・過乾燥)のサンプル、公定法で測った水分値、現在の合否判定の基準。
  • 検証で見るポイント:狙った差がスペクトルに現れるか、ライン速度と照明条件でも再現するか、教師データはどれくらいの量が要るか。
  • その場で分かること:既存の水分計で足りるのか、イメージングが必要なのか。「要らない」と判断できることも成果のうちです。

期間や進め方はお客様の課題・ご要件に応じて調整しています。対象になるかどうかを含めて、まずはご相談ください。

どの手法が適切かは、対象品目・要求精度・工程速度によって変わります。社内で比較検討される際の判断材料として、手法の整理と導入の進め方をまとめた資料をご用意しました。

よくある質問

食品の水分測定を非破壊・インラインで行うことはできますか?

電気式(抵抗・静電容量)やマイクロ波、近赤外(NIR)水分計、ハイパースペクトルイメージングを使えば、試料を壊さずに測定できます。インライン(連続監視)まで行えるのは主にNIR水分計とハイパースペクトルイメージングです。ただしいずれも間接測定のため、公定法の値と結びつける検量線を作り、定期的に更新する運用が前提になります。

常圧加熱乾燥法とは何ですか?乾燥減量法との違いは?

常圧加熱乾燥法は、大気圧下で試料を加熱して水分を蒸散させ、乾燥前後の質量差から水分含量を求める方法です。乾燥減量法は「減った質量を水分とみなす」考え方を指す呼び方で、実質的にほぼ同義として使われます。消費者庁の食品表示基準の分析方法では、一般に100〜135℃の範囲の一定温度と乾燥時間を適用すると示されており、条件の例として穀粒・乾めん・せんべい類は135℃で3時間、魚介類及びその加工品は105℃で5時間などが挙げられています。

減圧加熱乾燥法やカールフィッシャー法はどんなときに使いますか?

減圧加熱乾燥法は、熱で変化しやすい食品に向く方法で、一般に0.0007〜0.0133MPaの真空度のもと、熱に弱い食品は60〜70℃、比較的安定な食品は90〜100℃で加熱します。カールフィッシャー法は水がヨウ素・二酸化硫黄と定量的に反応することを利用する滴定法で、微量水分まで扱えます。ただしアスコルビン酸やアルデヒド等の還元力の強い成分が多量にある試料には適しません。いずれも試料を消費する破壊検査です。

赤外線水分計は非破壊測定ですか?

いいえ。赤外線水分計は加熱乾燥法を簡易的に実現する器械で、試料を加熱して質量の減少から水分率を求めるため破壊検査です。所要時間は数分〜20分程度で、公定法より大幅に短縮できる点がメリットです。一方で乾燥温度の設定を誤ると試料が焦げ、公定法より高い値が出る失敗例も報告されています。

ハイパースペクトルカメラで水分を見る利点と限界は何ですか?

画素ごとにスペクトルを取得するため、水分や成分の分布を面として可視化でき、単一点の水分計では見えない乾燥ムラや偏りの位置を把握できます。一方で、公定法の実測値と対応づけた教師データの整備、照明・撮像条件の管理が必要で、得られるのは主に表面から浅い層の情報のため、厚みのある食品の中心水分をそのまま当てるのは困難です。単一点の水分率を安く高頻度に知りたいだけなら、電気式やNIR水分計のほうが確実です。

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