糖度計の原理は、屈折率を測る屈折計と、近赤外光の吸収を測る非破壊式で根本的に異なります。この記事では、両者で数値が合わない理由を測定原理から整理し、果温・測定部位・検量線のどこを疑えばよいかを自分で切り分けられる状態にします。
結論から書きます。屈折計の Brix は「糖の量」ではなく、糖・酸・塩類・タンパク質など水に溶けるものすべての合算値(可溶性固形分)を、20℃のショ糖溶液を基準にした目盛りで読んだ値です。非破壊(近赤外)式はその Brix を正解として作った検量線(回帰モデル)経由の推定値なので、原理上、屈折計の性質をそのまま引き継いだうえに、果温・測定部位・個体差ぶんの誤差が上積みされます。つまり「数値が合わない」のは機器の故障ではなく、測っているものと測り方が違うことの当然の結果です。合わせ込みは、同じ果実・同じ部位・同じ温度で突き合わせ、バイアス調整と検量線の点検で詰めていくのが筋道になります。
糖度計の原理は2系統|屈折計(Brix)と非破壊(近赤外)は測っているものが違う
現場で「糖度計」と呼ばれる機器は、測定原理から見ると大きく2系統に分かれます。果汁を搾って光の屈折を測る屈折計と、果実に光を当てて内部を透かす非破壊式です。この2つは数値の単位が同じ「Brix」や「度」で表示されるため同じものを測っていると思われがちですが、原理はまったく別物です。
屈折計:屈折率を測り、ショ糖溶液の換算目盛りで読んでいる
屈折計は、光が溶液に入るときの曲がり方(屈折率)を測る機器です。糖が水に溶けると屈折率が水より大きくなるため、屈折率から濃度を逆算できます。ここで使われる Brix という単位は、藤原孝之「近赤外分光法による果実類の糖および酸の測定とその問題点」(日本食品工学会誌, 2004)によれば「20℃におけるショ糖溶液の濃度を重量%で示したもの」と定義されています。つまり Brix 目盛りは、ショ糖水溶液という特定の物質で作った換算表そのものです。
重要なのは、同じ総説が「Brix には糖をはじめ塩類、タンパク質、酸など水に溶ける物質すべてが反映され、複数の物質が溶けている液においては、それらの合算値が測定値となる」と明記している点です。果実は Brix を構成する成分の多くが糖なので慣習的に「糖度」と呼ばれていますが、有機酸やアミノ酸、甘味を呈しない糖質が多い果実では、Brix は甘さの指標として不適当になります。屈折計は糖を選んで測る機器ではなく、可溶性固形分の総量を読む機器です。この性質は、屈折計メーカーのアタゴが、切削油や不凍液など別の水溶液を測るときは「Brix(屈折率)対濃度」の換算グラフを前もって作成するよう案内していることからも分かります。屈折率と濃度の対応は、物質ごとに作り直すしかありません。
非破壊(近赤外)式:吸収スペクトルから検量線で推定している
非破壊式が使う近赤外分光法は、物質による近赤外光(通常800〜2500nmの波長域)の吸収に基づく分析手法です。糖やその他の成分は特定の波長の光を吸収するため、果実を透過または拡散反射した光のスペクトル(波長ごとの吸収の強さの分布)に、内部成分の情報が含まれます。原理の全体像は近赤外分光法とは|800〜2500nmの原理と非破壊測定の限界で整理しています。
ただし、スペクトルから糖度の値が直接出てくるわけではありません。選果場の光センサーも、木村美紀夫「選果場における糖度計測システム」(計測と制御, 1998)が示すとおり、投光部・受光部・分光部・演算部からなり、分光した信号をもとに演算部が糖度値を算出する構成です。この演算に使われるのが検量線、つまり「スペクトルの特徴量を入れると糖度の推定値が出る回帰式」です。農研機構の研究でも、官能評価スコアを目的変数、非破壊測定した果実の拡散反射スペクトルを説明変数として PLS 回帰などの多変量解析にかけ、検量モデルを作るという手順が明示されています。
非破壊式の基準値は屈折計の Brix|誤差はそのまま引き継がれる
ここが「数値が合わない」話の根っこです。検量線を作るには、スペクトルと対応づける正解データ(リファレンス)が必要で、糖度の場合その正解はふつう屈折計で測った Brix 値です。前出の藤原の総説も「近赤外分光法による定量分析においては、従来法の分析値を基準とした回帰式(検量線)の作成が必要である」と述べています。
つまり非破壊式は、屈折計の値を再現するように作られた推定器です。屈折計が可溶性固形分の合算値を読んでいる性質はそのまま受け継がれ、そのうえにスペクトル測定に固有の誤差(果温、光散乱、測定部位、個体差)が上積みされます。非破壊式が屈折計より「正確」になることは原理上ありえず、屈折計の値に近づくことが目標の機器だと押さえておくと、現場の判断がぶれません。
屈折計と非破壊機で数値が合わない5つの理由
ここからは食い違いを原因別に分解します。「どちらが正しいか」ではなく「どの要因が効いているか」を切り分ける順番で並べました。
理由1:そもそも測っている対象が違う(Brix=可溶性固形分)
前章のとおり、屈折計の Brix は糖だけの濃度ではありません。藤原の総説では、ウンシュウミカンとイチゴの果汁について、全糖濃度に酸濃度を加えた値のほうが、全糖濃度だけの場合より Brix 値との相関が高く、絶対値の差も小さかったことが示されています。糖と酸が Brix 値の大部分を占める成分だという実測結果です。
さらに同じ総説は、イチゴでは全糖と酸の合計と Brix 値の差がウンシュウミカンより大きく、多糖類など他の物質が Brix に及ぼす影響が大きいと推察しています。品目によって「Brix のうち何が糖以外か」の比率が変わるため、糖そのものを管理したい場面では、Brix と糖組成は別の指標として扱う必要があります。糖組成を知りたいなら HPLC などの化学分析が本筋です。
理由2:果温(温度補正と20℃基準)
Brix の定義自体が20℃基準なので、温度は避けて通れません。アタゴは自動温度補正の解説で「液体の濃度は温度と反比例の関係にあります」「例えば、20度のショ糖液10%は、1度変わると0.07変わります」と示し、自動温度補正付き製品はサンプルの温度を検知して常に20℃のときの値に補正すると説明しています。手持ちの屈折計で温度補正の有無が違えば、それだけで値はずれます。
非破壊式では影響がさらに複雑です。藤原の総説によれば、モモを用いた検討で水の吸収バンドにおいてスペクトルが温度変動の影響を受けることが確かめられ、対応策として試料温度を変動させてスペクトルを測り検量線を作る方法の有効性が示されています。試料温度と吸光度の相関が高い波長を検量線に組み込む温度補償も報告されています。選果場では果実温度を一定に保つことが困難なため、多くの非破壊測定器で温度の影響を軽減する手だてがなされていると総説は述べ、選果ラインでは赤外センサで品温を同時計測して温度補正する実装も報告されています(木村, 1998)。
実務上の含意は単純です。朝採りの冷えた果実と日向に置いた果実を同じ検量線で測れば、温度補正が効いていても残差は出ます。屈折計と突き合わせる検証では、果実の温度を揃えるのが最初の一手です。
理由3:測定部位と果実内の糖の不均一分布
果実の糖度は内部で一様ではありません。藤原の総説は、非破壊測定では果実成分の不均一性が大きな課題であり、メロン・ウンシュウミカン・カキなどで果実内における糖および酸濃度の違いが報告されていると整理しています。
この不均一性は、測定方式ごとに違う形で表れます。木村(1998)によれば、反射型で計測できる果皮からの深さは、波長や果肉の物性によって異なるがおおむね数mmです。慣行的な糖度表示が赤道部の表皮近傍の果肉部の値であり、反射型の測定部位との間に大きな乖離がなかったことが、反射型の計測値が等級選別の要素として認知された要因のひとつだと同論文は述べています。一方で反射型は「果実の一面しか測定しない」という欠点を持ちます。
透過型は性格が異なります。藤原の総説は、透過スペクトルによれば果実内成分が不均一でもある程度果実全体を平均化した情報が得られるため、現在では多くの果実非破壊測定器が透過光方式を採用していると述べています。ただし木村(1998)は、半透過方式の場合測定部位が検体の赤道部より下部であり、慣行的な糖度測定部位とは異なることから、市場やJAとのコンセンサスを得る必要があると課題を挙げています。
つまり、非破壊機が返す値は「ある領域を平均した値」であり、屈折計の値は「搾汁した部位の値」です。切って搾る部位を変えれば屈折計の値も動くため、照合では部位の取り決めを先に決めておかないと議論が噛み合いません。品目ごとの違いは光センサーの糖度計はなぜ測れる?精度を決める5要因と品目別の限界で扱っています。
理由4:検量線の適合範囲(品種・産地・栽培時期・収穫年次・熟度)
検量線は、作るときに使った試料の範囲でしか信頼できません。藤原の総説は、ウンシュウミカンやモモなどで品種・栽培時期・産地・収穫年次が異なると検量線の適合性が劣ることが報告されていると明記し、原因は成分組成の違いや、果実の物理化学性に起因する光散乱の違いによるものと推察しています。
熟度や貯蔵も効きます。同総説は、リンゴ切片の透過スペクトルから作った検量線で貯蔵果の測定精度が低下した例や、貯蔵に伴いスペクトルが上下にシフトする観察例を紹介し、熟度の違いや貯蔵に伴う物理化学性の変化が光散乱特性に影響して測定精度を左右する場合があると述べています。生理障害果も正常果と光散乱特性が異なるため、まず障害果を検知して健全果のみ成分測定を行う必要があるとしています。
対応策として総説が示すのは、将来測定する試料に予想される変動要因をすべて検量線作成用試料に含めることと、定期的な検量線のチェックです。メーカー側もここに投資しています。クボタは非破壊糖度計について全国の複数産地から異なる品種の青果物サンプルを集め、複数年にわたって開発した検量線であること、温度変化や経時劣化に影響されない安定した測定のために自動補正機構を開発したことを公開しています。
理由5:検量線のメンテナンス(バイアス調整)と機器間差
検量線は「入れたら終わり」の設定ではありません。非破壊機の推定値と破壊式(屈折計)の実測値の間に生じる系統的なずれを合わせるのがバイアス調整で、クボタは同製品について、本装置の測定結果と破壊式の実測値を比較する場合に基準値と測定値の誤差を調整するバイアス調整が必要であり、購入後の初回使用時や安定した測定のために実施を推奨しています。
ここで押さえたいのは、バイアス調整が意味を持つのは「系統的なずれ」に対してだけという点です。藤原の総説は、検量線の残差標準偏差(SEC)を σ とすると、試料の成分値が正規分布をなす場合に検量線による計算値が真の値の±σに入る確率は約68%、±2σに入る確率は約95%だと説明し、続けて「糖度の標準誤差が0.5°Brix の場合(非破壊の果実測定において現実的な数値である)、20個の果実を測定すると、1.0°Brix 以上の誤差が生じる果実が1個あるということになり、精度に不満を感じる実需者も多いことであろう」と書いています。ばらつきは平均を合わせても消えません。
だからこそ、同総説は「その誤差を十分理解し、誤差を許容できる使用法が必要」であり、正確な値の表示・味によるランク分け・食味不良果の除去では求められる精度が異なるため、導入にあたって測定精度の許容値を考慮すべきだと結んでいます。「何度以上か」を保証したいのか、「3段階に分けたい」のかで、必要な精度は変わります。機器を複数台並べる場合は、台ごとに同じ基準果で突き合わせて機器間差を把握しておくことも実務上の必須作業です。
私たちはこれまで、食品・農業・インフラ・医療などの現場とともに、ハイパースペクトルカメラの実証を重ねてきました。そのなかで痛感したのは、原理の違いを先に合わせておかないと、どの機器を選んでも「数値が合わない」議論から抜け出せないということです。使い分けを検討される際は、国産・自社開発のハイパースペクトルカメラ irodori の仕様もあわせてご覧ください。
手法の使い分け|屈折計・ハンディ非破壊・据置非破壊・インライン・化学分析
原理が違うのだから、使い分けの基準も「精度の高さ」ではなく「何を知りたいか」で決めるのが合理的です。出典が確認できない誤差の具体値は書かず、原理から言えることだけを並べます。
手法 | 測っているもの | 破壊/非破壊 | 測定の速さ | 向く用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
屈折計(Brix) | 果汁の屈折率→可溶性固形分(20℃のショ糖溶液基準) | 破壊(搾汁が必要) | 1点あたり短時間 | 基準値づくり、抜き取り検査、検量線のリファレンス | 糖だけの値ではない。温度補正の有無と搾汁部位で値が動く |
ハンディ非破壊 | 近赤外の吸収スペクトル→検量線で推定 | 非破壊 | 1点あたり短時間 | 圃場・倉庫での個体チェック、収穫期の見極め | 品種・産地・年次が検量線の範囲外だと適合性が落ちる |
据置非破壊 | 同上(透過/半透過が中心) | 非破壊 | 1点あたり短時間 | 出荷前の確認、サンプル計測、基準果の管理 | バイアス調整の運用が前提。測定部位の取り決めが要る |
インライン(選果ライン組込) | 同上。糖度以外の内部品質も同時計測の報告あり | 非破壊 | ライン速度で連続 | 全量の等級選別、内部障害果の除去 | 搬送系・遮光の設計依存。慣行の測定部位と異なる場合がある |
化学分析(HPLC等) | ショ糖・果糖・ブドウ糖など糖組成そのもの | 破壊(前処理が必要) | 通常は十数分のリテンションタイムが必要 | 糖組成の解明、研究・品質設計、表示根拠 | 高価な装置と熟練を要する。現場の即応性には向かない |
表のうち、インラインで糖度以外の内部品質(ミツ入り、ス入りなど)を同時計測できる点、および透過型では果皮が厚く反射型で測定できなかったミカン、さらにメロン・スイカといった低透過率の対象にも適用可能になった点は木村(1998)に基づきます。HPLC の前処理の煩雑さと十数分のリテンションタイムは藤原の総説の記述です。ライン組込の判断軸は糖度センサーを非破壊で選果ラインへ|インライン導入の判断4軸、手法全体の比較は果物の糖度を非破壊で測る4手法|糖度計の仕組みと選び方をご覧ください。
判定チャート|屈折計で足りるか、非破壊が要るか、分光が要るか
原理を踏まえると、選定は次の分岐で整理できます。上から順に当てはめてください。
- 知りたいのは糖の組成(ショ糖・果糖・ブドウ糖の内訳)か? → はいなら化学分析(HPLC等)。Brix も非破壊機も組成は返さない。
- 抜き取りで足りて、搾汁しても損失が許容できるか? → はいなら屈折計で十分。温度補正付きを使い、搾汁部位と測定温度を社内で固定する。
- 全量または多数の個体を、切らずに判定したいか? → はいなら非破壊式。あわせて、屈折計で基準値を取り続ける体制(バイアス調整用の破壊検査)を必ず残す。
- その非破壊判定は「数値の保証」か「ランク分け」か? → 数値の保証ならば許容誤差を先に決める。ランク分けなら、段階の幅が検量線のばらつきより十分に広いかを確認する。
- 糖度以外に、内部障害・褐変・熟度・食味といった複数項目を同じ光学系で見たいか? あるいは「果実のどこが甘いか」を面で把握したいか? → はいならハイパースペクトル(分光画像)の検討領域。ただし次章の制約を先に読んでほしい。
5番目が検討に値する根拠は公的研究にあります。農研機構は近赤外光(波長700〜2500nm)を用いて非破壊的に果実内部の成分を測る光センサーのスペクトルをAIで解析し、トマトの「うま味」「ジューシー感」「甘味」「かたさ」などで官能評価値と推定値に良好な相関を得たと公表しています。農林水産省のプロジェクト成果でも、既存選果システム搭載の近赤外センサーのデータをデータマイニング手法で解析し、りんごの1か月後の内部褐変可能性を判定するモデル式を構築した事例が報告されています(現行システムでは平均誤判別率9%と記載)。同じスペクトルから複数の品質項目を引き出す方向に、実績が積まれているということです。
分光(ハイパースペクトルイメージング)でできないこと
ハイパースペクトルカメラは、1枚の画像の各画素に数十〜数百の波長の強度を記録し、対象を「面」で分光する装置です。仕組みの全体像はハイパースペクトルカメラとは?仕組み・原理をわかりやすく解説にまとめています。測定原理の話を正確に終わらせるために、できないことを先に書きます。
- 糖そのものを直接定量する装置ではありません。分光で得られるのは吸収スペクトルであり、糖度の値は検量線を介した推定値です。この構造は点計測の近赤外糖度計と同じで、面になっても間接測定であることは変わりません。
- 屈折計や化学分析の代替にはなりません。検量線を作るには従来法の分析値を基準にする必要があり(藤原, 2004)、屈折計や HPLC は基準値の供給元として必ず残ります。分光を入れても破壊検査が不要になるわけではありません。
- 品目ごと・年次ごとに教師データと検量線の構築が必要です。品種・栽培時期・産地・収穫年次が異なると検量線の適合性が劣ることが報告されており(藤原, 2004)、導入直後にすぐ精度が出る道具ではありません。将来測定する試料の変動を含んだ試料群を集める作業が先に来ます。
- 果実の深部や空洞の裏側は見えません。近赤外の反射・拡散反射で得られる情報は果皮からおおむね数mmの深さにとどまり(木村, 1998)、渡邊・宮川「マイクロ波を用いた果実内糖度分布非破壊撮像の試み」(電気学会論文誌, 2009)も「近赤外光の果実浸透深度は極めて浅いから、遠隔・非破壊評価ができるのは果実表皮の糖度情報か、切断した果実切断面の糖度分布である」と指摘しています。果実中心部に空気を含む品目では、その奥の情報は得られません。
- 測定部位によるばらつきは、分光でも消えません。同論文は、近赤外光を用いるポイント計測法や特定切断面の計測では測定部位・切断面によって計測される糖度にバラツキが生じ、これが基本的な問題点として指摘されてきたと述べています。面で撮れる範囲は広がりますが、果実内部の三次元的な糖度分布を外から読み切る課題は残ります。
- 照明・温度・姿勢の統一が前提です。温度がスペクトルに影響すること、熟度や貯蔵による光散乱特性の変化が精度に影響しうることは藤原の総説が整理しており、撮影条件が揺れれば推定値も揺れます。
これらを踏まえると、分光が力を発揮するのは「既存の糖度計を置き換える」場面ではなく、既存手法では項目が足りない、あるいは分布を見たいという場面です。糖度は既存の非破壊機で測りつつ、障害・褐変・熟度・食味といった別の軸を同じ光学系で足していく使い方のほうが、原理に素直です。
現場で数値を合わせ込む手順
最後に、食い違いを詰めるときの順番を整理します。効きやすいものから順に潰すのが早道です。
- 同一果実・同一部位で突き合わせる。非破壊機で測った果実を、その測定部位と同じ場所から搾汁して屈折計にかける。この取り決めがないと比較が成立しません。
- 果温を揃える。Brix の定義が20℃基準であること、温度がスペクトルに影響することの両方が効きます。屈折計側の自動温度補正の有無も確認します。
- ばらつきと系統差を分ける。平均が一定量ずれているなら系統差で、バイアス調整の対象です。平均は合うのに個体ごとに散るなら検量線のばらつきで、調整では解決しません。
- 検量線の適合範囲を確認する。品種・産地・栽培時期・収穫年次・熟度・貯蔵条件がその検量線の想定範囲に入っているか。範囲外なら、メーカーに更新を相談する領域です。
- 生理障害果を先に除く。障害果は光散乱特性が正常果と異なります。健全果のみで成分測定を行うのが原則です。
- 許容誤差を文書で決める。「数値を表示する」「3段階に分ける」「食味不良果を落とす」で必要な精度は違います。先に線を引けば、合わない数値を無限に追いかけずに済みます。
原理の違いを前提に、どこまでを既存の糖度計で担い、どこから分光の検討に入るのか。現場の品目と判定の目的をうかがえれば、できること・できないことを正直にお伝えします。これまでの取り組みは実績一覧でご確認いただけます。検討の進め方をまとめた資料もご用意しています。




