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コニカミノルタのハイパースペクトルカメラ|Specimと分光測色計の違い

コニカミノルタのハイパースペクトルカメラは、2020年に買収したフィンランドのSpecim社のブランドとして実在します。一方で同社を有名にしている分光測色計は「点」で色を測る機器で、面で分光するハイパースペクトルカメラとは役割が異なります。

コニカミノルタのハイパースペクトルカメラは「Specim」ブランドで実在します

結論から整理します。コニカミノルタが扱う分光計測機器は、大きく二つの系統に分かれます。ひとつが分光測色計(CMシリーズなど)で、これは決められた1点の色・分光反射率を高精度に測る機器です。もうひとつがSpecimブランドのハイパースペクトルカメラで、こちらは視野全体の各画素についてスペクトルを取得する画像計測の機器です。「色を数値で管理したい」なら前者、「どこに何があるかを面で見つけたい」なら後者——検索してたどり着いた方が本当に切り分けるべきなのは、メーカー名ではなくこの一点です。

2020年にSpecim社を買収してHSI事業へ参入

コニカミノルタは2020年11月27日、フィンランド・オウルに本社を置くSpecim, Spectral Imaging Oy Ltd.の全株式を取得する契約を締結したと発表しています。Specim社は1995年設立で、ハイパースペクトルイメージング(HSI)カメラの開発・生産・販売を手がけてきた企業です(コニカミノルタ ニュースリリース)。つまり「コニカミノルタのハイパースペクトルカメラ」を探している方が実際に目にするのは、多くの場合Specimブランドの製品ということになります。

公式に公開されているSPECIM FXシリーズの仕様

コニカミノルタジャパンの公式Webマガジンでは、SPECIM FXシリーズとして次の3機種が紹介されています(コニカミノルタ 製品紹介ページ)。

  • SPECIM FX10:波長域400〜1000nm/224バンド/半値幅5.5nm。植生・農業、印刷時の色と濃度、食品の品質など
  • SPECIM FX17:波長域900〜1700nm/224バンド/半値幅8nm。食品と飼料の品質、廃棄物の分別、リサイクル、水分測定など
  • SPECIM FX50:波長域2.7〜5.3μm/154バンド/半値幅35nm。黒いプラスチックの選別、地質学と鉱業、金属産業など

いずれもインライン計測を想定した高性能機で、価格は公式ページには記載されていません(産業用ハイパースペクトルカメラでは個別見積が一般的です)。相場感の全体像はハイパースペクトルカメラの価格相場2026で整理しています。なお、波長域が三系統に分かれている点は重要で、ハイパースペクトルカメラの波長域の選び方(VNIRとSWIR)で解説しているとおり、見たい成分によって必要な帯域が変わります。

分光測色計とハイパースペクトルカメラは何が違うのか

「コニカミノルタ ハイパースペクトルカメラ」で検索される方の多くは、実のところ分光測色計とハイパースペクトルカメラを同じ棚に並べて比べている状態にあります。ここを分けると、必要な機材はかなり早く決まります。

点で測るか、面で撮るか

分光測色計は、測定口を対象に当てて「その1点」の分光反射率を求め、L*a*b*などの色の数値に変換します。塗料・樹脂・繊維・化粧品などの色管理で長年使われてきた、確立された定評ある計測手法です。均質なサンプルの色を厳密に数値管理する用途では、これ以上のものは要りません。

対してハイパースペクトルカメラは、画像の各画素にスペクトルを持たせます。コニカミノルタの技術解説でも、RGBカメラが3バンドで捉えるのに対し、HSIは広範囲の波長を数十〜数百バンドに分解して捉えると説明されています(コニカミノルタ 技術紹介:ハイパースペクトルイメージング技術)。だからこそ「ベルトコンベア上を流れる原料のどこに異物があるか」「果実のどの部分が傷んでいるか」という分布の問いに答えられます。

三方式の比較表

方式

測定の単位

取得できる情報

向く用途

代表的な使いどころ

分光測色計

点(測定口の面積)

1点の分光反射率・色の数値

色の厳密な数値管理

塗装・樹脂・繊維・印刷の色合わせ、受入検査の合否判定

マルチスペクトルカメラ

面(画像)

数バンド〜十数バンドの画像

指標が決まっている面の判別

植生指標の把握、既知の2〜3成分の粗い切り分け

ハイパースペクトルカメラ

面(画像)

各画素の連続的なスペクトル

未知の要因探索・分布の可視化

異物混入検査、成分分布の把握、材質の選別

4種類の分光カメラを目的別に振り分けたい場合は、分光カメラの選び方|目的別に4種類を比較する判定チャートもあわせてご覧ください。

あなたの用途ではどちらが要るか——判断軸と、正直な限界

次の項目に多く当てはまるほど、点測定(分光測色計)で足りる可能性が高くなります。

  • 対象が均質で、どこを測っても同じ値になると分かっている
  • 知りたいのは「色が基準からどれだけずれたか」という一つの数値である
  • 測定点があらかじめ決まっており、対象を静止させて当てられる
  • 社内・取引先の間で、既存の色の規格や管理値で会話が成立している

逆に、以下に当てはまるならハイパースペクトルカメラの領域です。

  • 不良や異物が「どこに出るか分からない」ため、面で探す必要がある
  • 色ではなく、水分・脂質・糖度など成分に由来する差を見たい
  • 近赤外(SWIR)など、目に見えない帯域の情報が要る
  • ラインを止めずに全数を見たい、あるいは非破壊で内部の状態を推定したい

ハイパースペクトルカメラは万能ではありません

導入検討の場でこそ、限界を先に共有しておくべきだと考えています。

  • コストが上がる:産業用の据置機は数百万円規模になることが珍しくありません。点測定で済む課題に投じると、費用対効果が合いません。
  • データが重く、解析の設計が要る:1回の撮影で数百バンド×全画素のデータが出ます。撮れば答えが出る機械ではなく、「何と何を見分けたいか」を定義し、教師データを用意して初めて成果になります。
  • 照明と撮影条件に敏感:光源のムラ、対象の凹凸や角度、コンベアの速度で結果が変わります。現場側の作り込みが必要です。
  • 絶対的な色管理には不向きな場合がある:規格に沿った色の数値管理が目的なら、素直に分光測色計を使うほうが確実です。

「コニカミノルタの分光測色計で十分だった」という結論は、まったく正当な着地点です。私たちも、色管理だけが目的のご相談では率直にそうお伝えしています。

導入に使える補助金・助成金(2026年度の状況)

ハイパースペクトルカメラの導入では、国の中小企業向け支援制度が使える場合があります。ただし採択・対象可否は制度と申請内容によって決まり、断定はできません。必ず各公式サイトの最新の公募要領をご確認ください。

  • デジタル化・AI導入補助金2026(旧・IT導入補助金):通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の1次締切は2026年9月29日17:00、複数者連携枠は2026年10月30日17:00と公表されています(事業スケジュール)。ハードウェアはインボイス枠(対応類型)でPC等が対象と記載されており、枠によって扱いが異なります(制度概要)。
  • ものづくり補助金:公式総合サイトでは、23次締切の採択結果が2026年8月7日に公表されたと告知されています。以降の公募回は公式総合サイトで順次告知されます。
  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):第7回の公募要領が2026年6月5日に公開されています(中小企業庁)。制度の全体像はミラサポplusにまとまっています。

制度は年度ごとに枠組みも名称も変わります。irodori の導入が補助金の対象になり得るか、まずはお気軽にご相談ください。分かる範囲で正直にお答えします。

もうひとつの選択肢:国産・自社開発のハイパースペクトルカメラ irodori

私たちはこれまで、食品・農業・インフラ・医療などの現場とともに、ハイパースペクトルカメラの実証を重ねてきました。取り組みの一部はハイパースペクトルカメラの導入実績一覧で公開しています。

Invisible World(運営:Milk.株式会社)が開発する irodori は、手のひらサイズのハイパースペクトルセンサーです。18原色の波長を識別し、ボタンひとつで数秒の計測が完了する設計になっています。デバイス価格は107,800円(税込)/1台、解析サービス ANSWER Lite は月額2,980円(税込)・年額29,800円(税込)と、価格をサイト上で公開している点が特徴です。導入時のトレーニングと運用中の技術サポートは専任担当者が国内で対応します。詳細はハイパースペクトルカメラ irodori の製品ページをご覧ください。

据置型の産業用ラインには、Specimシリーズのような高性能機が適した場面が確かにあります。一方で「まず自社の対象で分光の差が出るのか確かめたい」「現場に持ち出して手軽に撮りたい」という段階であれば、小型で価格の見通しが立つ機材から始める選択肢もあります。持ち運び前提の比較軸はハンディ型ハイパースペクトルカメラの比較|現場で失敗しない7項目に整理しました。技術の全体像はハイパースペクトルカメラの活用を紹介するトップページからご覧いただけます。

私たちは国産のハイパースペクトルカメラ irodori を自社開発しています。記事の最後で恐縮ですが、もし「点で測るか面で撮るか」の切り分けや、自社の対象で使えるかの見極めでお困りでしたら、資料だけでもご覧いただけたら嬉しいです。

よくある質問

コニカミノルタはハイパースペクトルカメラを販売していますか?

はい。2020年11月にフィンランドのSpecim社の全株式を取得する契約を締結し、ハイパースペクトルイメージング事業へ参入しています。公式ページではSPECIM FXシリーズとしてFX10・FX17・FX50が紹介されています。

分光測色計とハイパースペクトルカメラはどう違いますか?

分光測色計は測定口を当てた1点の分光反射率から色の数値を求める機器です。ハイパースペクトルカメラは画像の各画素にスペクトルを持たせるため、面の中のどこに何があるかという分布を把握できます。目的が色の数値管理なら前者、分布の可視化や成分由来の差の検出なら後者が向きます。

SPECIM FXシリーズの波長域を教えてください。

公式ページによると、FX10が400から1000ナノメートルで224バンド、FX17が900から1700ナノメートルで224バンド、FX50が2.7から5.3マイクロメートルで154バンドと記載されています。価格は公式ページには記載がありません。

ハイパースペクトルカメラのデメリットは何ですか?

コストが高くなりやすいこと、1回の撮影で大量のデータが出るため解析の設計と教師データの準備が必要なこと、照明や撮影角度など現場条件に結果が左右されやすいことです。規格に沿った色の数値管理だけが目的なら、点測定の分光測色計のほうが確実です。

irodori の価格はいくらですか?

公式サイトではデバイスが1台107,800円(税込)、解析サービスANSWER Liteが月額2,980円(税込)または年額29,800円(税込)と公開されています。導入時のトレーニングと運用中の技術サポートは専任担当者が国内で対応します。

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